
ウクライナ政府主導で「敵に死を!」 テレマラソン報道は真実か
https://mainichi.jp/articles/20250210/k00/00m/030/247000c
毎日新聞 2025/2/13 05:02(最終更新 2/13 05:02) 有料記事 1708文字
司会者たちは「ウクライナに栄光あれ!」とゲストを迎え、「敵に死を!」という掛け声でニュースを締めくくる。ウクライナ主要テレビ6社が参加している24時間ニュース放送「テレマラソン」だ。政府とメディアの協力を象徴し、2022年2月のロシア軍による全面侵攻の直後に放送を開始した。
フェイクニュースによる混乱を防止し、「正確な戦況」を国民に伝えることを目的とする。政府から年間4500万ドル(約68億円)超の資金援助を受け、6社の各チャンネルが1日4時間ずつ交代で放送する。6社が分担することで、人手や資金を軽減できる利点もある。
24日で3年がたつロシアによるウクライナ侵攻。戦時下におけるメディアのあり方について、現地から伝えます。
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「もはや真実を知る手段ではない」
ところが、侵攻の長期化に伴って、テレマラソンに対しては「反対意見を排除し、実際よりも楽観的な戦況を伝えている」との批判が強まった。ゲストとして登場する国会議員は与党が中心で、野党にはほぼ発言の場が与えられていない。
地元メディア「キーウ・インディペンデント」のオリガ・ルデンコ編集長は、「テレマラソンが何らかの形で政権にコントロールされているのは間違いない。権力に批判的な内容がなく、もはや真実を知る手段ではなくなっている」と厳しく指摘する。
戦時下のこの国で、政府とメディアの関係は時間とともに変化した。ルデンコ氏は「ロシアの全面侵攻開始当初、メディアは政府への批判を控えました。祖国を壊滅させようとする外敵を前に、政府も一般市民もメディアも一致団結しました」と振り返る。だが次第に、ほころびが露呈し始める。
記者の自宅に押しかける男たち
キーウ・インディペンデントは22年8月、ウクライナ軍の外国人部隊による民家からの略奪、部隊内での暴力、無謀な作戦命令などを告発する記事を公表した。「あのころ、軍は守護神のような存在でした。不祥事を告発すべきか、報道の独立が問われる最も重要な決断でしたが、発表を決めました。真実を伝え、報道の独立を維持すること…
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