自公VS維新・自公VS国民の攻防
石破政権は、来年度予算の年度内成立という大きな関門に直面している。去年の衆議院選挙で与党過が半数割れし、野党の協力が不可欠となる政権運営が続く中、野党の意見を受け入れながら政府予算案の修正を図る協議が続いている。
その石破政権の政権支持率を見ると、「支持」44.3%、「不支持」50.1%と、4カ月連続で「不支持」が「支持」を上回っている。また「不支持」が過半数を超えたのは、去年10月の政権発足以来初めてとなった。
【内閣支持率】
支持する 44.3%
支持しない 50.1%
ただし、支持政党別に見ると、依然として、自民支持層からは「支持」80.6%、公明支持層からも「支持」73.2%、維新支持層からも「支持」が49.4%と「不支持」47.8%となっていて、足下は堅く、一部野党からも一定の支持を得ている。
先月に続いて、国民民主支持層からは厳しい意見で、「支持」20.7%、「不支持」77.9%と、勢いを維持する国民民主党の支持層が全体の政権支持率を押し下げる状況となっている。
【内閣支持率 支持政党別(%)】
自民 公明 維新 国民民主
支持する 80.6 73.2 49.4 20.7
支持しない 14.7 21.3 47.8 77.9
高校無償化・年収の壁とも「年収制限無し」が多数
来年度予算案の修正をめぐって、連日協議が続いているのが、「高校教育の無償化」をめぐる、自公・維新の3党協議と「年収の壁引き上げ」をめぐる自公・国民民主の3党協議だ。
いずれも野党要求に対し、政府与党が譲歩する形の協議となっているが、合意に向けた様相には大きな違いがでている。
まず自公+維新をめぐる協議では、維新が求める高校無償化について、2025年4月から、公立・私立ともに支援金を上限で年11万8800円とし、2026年4月からは、私立向けに加算される支援額の上限を45万7000円として、いずれも所得制限を無くす方向で大筋合意にまで行き着いている。
高校教育無償化での所得制限が、撤廃となる方向となったことについて世論調査で聞いたところ、「賛成」58.4%、「反対」35.1%となり、所得制限は無くすべきだという意見が過半数を上回った。
【高校授業料の無償化 年収制限撤廃】
賛成 58.4%
反対 35.1%
これを、自・公・維のそれぞれの支持層で見ると、自民層では「賛成」60.0%、「反対」33.7%、公明層では「賛成」72.7%、「反対」18.4%、維新層では「賛成」71.5%、「反対」27.0%と与野党それぞれの支持層とも3党協議の方針に賛成との意見が圧倒的に高い結果となった。
自公と維新の間では、残すところ、維新がさらに要求する、社会保険料改革について、医療費4兆円削減と、社会保険料の国民負担を年間1人当たり6万円軽減する目標についての調整が残っているものの、合意は近い情勢となっている。
【高校無償化 年収制限撤廃 自公維の支持政党別】
自民層 公明層 維新層
賛成 60.0% 72.7 71.5
反対 33.7 18.4 27.0
178万円主張の国民民主「なめない方がいい、妥協しない」
一方、自公+国民民主の「103万円の壁」引き上げをめぐる協議は、暗礁に乗り上げている。
自民党は、所得税が非課税となる壁、控除について、年収200万円、475万円、665万円、850万円と4つの“年収制限の壁”を作る案を提示した。
これに対し、国民民主党の榛葉幹事長は「所得制限をつけるべきではない」として、自公と国民の間の溝は埋まっていない。
世論調査では、「年収の壁」についても、年収制限を設けるか、年収制限を撤廃するか質問したところ、自民案に沿った「一定の年収で制限するべき」は43.1%、「年収制限はするべきではない」が48.3%と「年収制限無し」を望む声が多数となった.