コラム:細野真宏の試写室日記 - 第27回
本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
第27回 「名探偵ピカチュウ」。令和で「ポケモン」が再び勢いを取り戻せるのか?
https://eiga.com/extra/hosono/27/ 日本のコンテンツがハリウッドで映画化されることで世界に広がっていくのは、基本的には日本経済にプラスに作用します。
ただ、もちろん例外もあり「ドラゴンボール」の実写ハリウッド版のように、似て非なるものにされてしまうと目も当てられなくなります…。
その点、今回の「名探偵ピカチュウ」は、日本での配給元の東宝が出資もして、
製作にも大きく関わっているため、クオリティーコントロールはしっかりできているのです。
まず、私は字幕版で見ましたが、いま思うとこれが少し失敗だったのかな、と分析しています。
本作の斬新なところは「なぜかピカチュウがオッサン声」で、しかも「その声をライアン・レイノルズが担当」という前情報で、私の頭は、
【ピカチュウの声がライアン・レイノルズという、良い意味でふざけた設定なら「デッドプール」並みのライアン・レイノルズの毒舌が見られるんだよね?
しかも、ピカチュウでやるなら、場合によっては同じ感じのクマのぬいぐるみの「テッド」のようなラインまで行く可能性もあるってことだよね?】と、勝手に先入観を持ってしまっていたのです。
そもそも子供もメインであるわけで、そこまで「ポケモン」の世界観を壊すことが起こるはずもなく、
私の勝手な思い込みから「あれ、そこまで大した作品ではない?」と感じてしまっていたのです。
そこで、頭をリセットするために吹替版で見てみましたが、
なるほど、確かにこれは「いつものポケモン」だと思ってハードルを上げずに見ると、出来は良いですね!
これまでピカチュウをかわいいと思っていた人は、実写化のピカチュウでは、さらにその思いは強くなると思います。
この実写化は、本当にアリでした。
ちなみに、そもそも日本のコンテンツなので、絶対に吹替版のほうが作品の良さが伝わって良いと思いました。
私は字幕版の時は笑えませんでしたが、吹替版のほうは、さすが本家の東宝がよりセンスのある言葉選びを行っているので、
作品のディテールもようやく理解できましたし、試写室でも字幕版より吹替版のほうが笑いも多く起こり、反応も良かったです。
渡辺謙にしても、わざわざ英語で話されるよりは、本人が吹替えをしていたほうがよっぽど自然に入り込めますよね。
さて、現時点で「日本版のピカチュウの声は誰が吹替えをしているのか」はシークレットになっていますが、これは公開日の5月3日に劇場で分かるようになっています。
私は見ていて気付きましたが、かなり適任だと思いましたし、エンドロールが終わった後に、
日本版の吹替えキャストの名前が出てきますが、その時に「お〜」とか「へ〜」という前向きなサプライズがあったので、
確かに知らないで見ておいたほうが良さそうですね。そのくらい全く心配の要らないキャスティングでした。
ちなみに「インターナショナルバージョンでも日本版でも、エンドロールは歌も含めて、全く同じもの」でした。
実は、私はこれまで「ポケモン」の映画を面白いと思ったことはほとんどなかったのですが、
ようやくこの「名探偵ピカチュウ」で、人気の秘密が分かってきた気がします。